薬局でも手に入るようになったオルリスタット(商品名:アライ)。ダイエット効果はあるのでしょうか。また、他のダイエット薬にはどのようなものがあるか調べて比較してみました。
Contents
オルリスタットとは?
脂質の吸収を抑える薬でもともとゼニカルという商品名でダイエット外来などで処方されていました。
日本では未承認の薬であり保険適応での処方はありません。
この薬はリパーゼという消化酵素を阻害し、脂質の消化・吸収を妨げることで摂取した脂質の約25-30%程度が消化されずに体外に排出することができると言われています。
この薬は体内にほとんど吸収されず重篤な副作用が起こりにくく安全性が高いため、医師の診察なしで手に入るようになりました。ただし脂溶性ビタミンであるビタミンA,D,E,Kの吸収障害が起こるため、安全に内服するためにはマルチビタミンを並行して内服することが推奨されています。また、成長に必要な栄養素の吸収も阻害するため18歳未満は内服禁止です!!思春期で外見が気になる年頃だと思いますが購入しないようにしてください。
ダイエット薬にはどんなものがある?
どうやって選んだらいい?
ダイエットは誰にでも簡単にできるものではありません。運動療法や食事療法を行っても思うように体重が落ちなかったりフラストレーションがたまることも多いと思います。
そのような中で、ダイエットにほかのオプションがあれば試してみたい方は多いと思います。そのためには可能な限り安全で継続可能な方法を選択する必要があります。
どのダイエット薬が効果があるかは個人差があり、その人の体質や食生活などにも依存します。そのため、一概に比較することは困難です。現在、オンライン診療による不十分なフォローや海外からの個人輸入で危険な薬の使い方をしている例も多いため、以下にダイエット薬を一覧にまとめてみました。
ダイエット薬は大きく分けて2つの種類があります。
①食欲抑制効果をもたらすもの
②脂質や糖質の吸収を抑制するもの
様々な作用機序の薬(日本に流通していないものも含む)がありますが、主に上記2つのいずれかの効果を有しています。一方で、副作用は作用機序により異なるため、薬を継続するためにはそこに注目し選択することが賢明であると考えます。
ダイエット薬一覧
商品名 | アライ/ゼニカル | サクセンダ/リベルサスなど | フェンテルミン |
一般名 | オルリスタット | リラグルチド(GLP-1アゴニスト) | フェンテルミン |
剤型 | カプセル | 注射/タブレット | カプセル |
作用機序 | 脂質の吸収を抑える | 食欲抑制 | 食欲抑制 |
減量効果 | 2021年のレビューでは12か月で約2.9%の減量効果が認められた | 2021年のレビューでは12か月で約5.4%の減量効果が認められた | 2021年のレビューでは12か月で約6.8%の減量効果が認められた |
よくある副作用 | 油漏れ、軟便、腹部膨満、ビタミンA,D,E,K欠乏症 | 嘔気、胃部不快感、腹痛、易疲労感、便秘、低血糖 | 便秘、下痢、口渇、睡眠障害、イライラつき、めまい、動悸 |
重篤な副作用 | 胆石症、肝機能障害、腎機能障害 | 低血糖、膵炎、アナフィラキシー、腎機能障害 | 高血圧、低血糖、心臓弁膜症、自殺、視力低下 |
商品名 | ジエチルプロピオン | マイシンバ | カナグル |
一般名 | ジエチルプロピオン | ブプロピオン | カナグリフロジン水和物(SGLT-2阻害薬) |
剤型 | タブレット | タブレット | タブレット |
作用機序 | 食欲抑制 | 食欲抑制 | 尿中へ糖を排泄させる |
効果 | 2009年のスタディで12か月で約10.6%の減量効果が認められた | 2021年のレビューでは12か月で約4.0%の減量効果が認められた | 2014年のスタディではカナグル100mgを12週間投与し2.9%の減量効果が認められた |
よくある副作用 | 腹部膨満、便秘、消化不良、不安障害、頭痛、腹痛、脱毛、口渇、筋肉痛 | 嘔気、嘔吐、便秘、頭痛、不安障害、筋肉痛 | 口渇、倦怠感、頻尿、便秘、下痢、腹痛 |
重篤な副作用 | 動悸、かすみ目、呼吸困難、胸痛、失神、発熱、咽頭痛 | 希死念慮、痙攣、セロトニン症候群 | 低血糖、尿路感染症、腎炎 |
効果の高い薬は?
ダイエット効果の高い順(12か月使用)に並べてみました。
Rank | 一般名 | 12か月での減量効果 |
1 | ジエチルプロピオン | 10.6% |
2 | フェンテルミン | 6.8% |
3 | リラグルチド | 5.4% |
4 | ブプロピオン | 4% |
5 | オルリスタット | 2.9% |
フェンテルミンはLancet(2022)で取り上げられ、GLP-1より高いダイエット効果が示されておりますが日本では未承認の薬となっております。この薬は交感神経も刺激するため心臓血管系や精神への影響が起こりうるため、ダイエット効果だけ見ると魅力的ですが安易な使用はお勧めしません。
安全性の高い薬は?
安全性で考えると、アライが薬局でも買えるようになったようにオルリスタットがNo.1だと思います。薬剤の成分が体内に取り込まれないため副作用が少なく、マルチビタミンなどのサプリメントを摂れば重篤な副作用は起きにくい安全な薬剤であると考えられます。
その一方で有効性は限られており、内臓脂肪を減らす作用はあるものの、減量を目的とする場合は食事制限と運動療法の併用が必要となります。
また、フェンテルミンは副作用の発現率は低いと言われていますが、重篤な副作用が致命的であることから慎重な使用が望まれます。
オルリスタットのデメリットは?
アライ(オルリスタット)のデメリットは、油漏れで継続困難であること、服薬のみではダイエット効果は少なく食事制限や運動療法の併用が必須、1年以上の内服でリバウンドすることが言われています。
日本人は欧米ほど脂分を含む食事が多くないため油漏れの副作用はそこまで深刻ではないかもしれませんが、中には下着、ズボン、座っていた椅子が汚れた、、という恐ろしい報告をされている方もいるため、ナプキンはマストで使用した方が精神衛生上もよいと思われます。
この薬はダイエットよりはどちらかというと内臓脂肪を減らす効果が強いため、飲んで痩せる!と期待していると期待外れとなるので注意してくださいね。
コメント